深夜の事務所で、日付をまたいだ勤怠の記録を画面で見ながら、この時間をどちらの日として数えるか考えているひとり労務担当者

夜勤・日またぎ勤務の労働時間|深夜割増と休日の判定を整理

「夜の10時から朝の7時までの夜勤って、勤務した日は月曜? 火曜?」。 勤怠を締めている途中で、ふと手が止まる。日付をまたいだ行が、システム上では2日に分かれて表示されている。深夜の割増はついているけれど、翌日が日曜だったらどうなるのか、前の担当者のメモにも書いていない——。夜勤や、トラブルで日付をまたいでしまった残業は、ひとり労務がいちばん迷いやすいところのひとつだと思います。

でも、ここは押さえる原則が3つしかありません。順番に見ていけば、ちゃんと数えられるようになります。

結論:日付をまたいで続けて働いた場合は、暦日が変わっても1つの勤務として扱い、始業した日の「1日」の労働として数えます(昭和63年1月1日基発第1号)。そのうえで、①午後10時〜午前5時に働いた時間には深夜割増(25%以上)を足し、時間外と重なれば50%以上、休日労働と重なれば60%以上になります。②ただし法定休日だけは原則「暦日(午前0時〜午後12時)」で判定するため、前日からの勤務が法定休日の午前0時を越えたら、0時以降は休日労働(35%以上)です。③同じ理由で、夜勤明けの日は「休日」にはなりません。交替制の勤務など、例外の扱いが認められる場合もあるので、個別の判断は社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご確認ください。

見ていく順番は、次のとおりです。

  1. 日をまたぐ勤務はどの日の労働か(1勤務の原則)
  2. 深夜割増がどこに、どう重なるか
  3. 翌日が法定休日のときの扱いと、夜勤明けの考え方
  4. 計算例で実際に数えてみる

何が起きているか:「日付」と「勤務」と「休日」で、物差しが違う

夜勤で迷う理由は、じつは物差しが3本あることです。

何を判断するか使う物差しポイント
1日8時間を超えたか(時間外の判定)1勤務(始業した日の労働)日付が変わっても、続けて働いた分は始業日の1日として数える
深夜割増がつくか時刻(午後10時〜午前5時)何曜日でも、この時間帯に働いた分に25%以上を足す
休日労働か(法定休日の判定)暦日(午前0時〜午後12時)法定休日の0時〜24時に働いた分が休日労働

勤怠システムは「日付」で行を区切ることが多いので、画面の見た目と、法律上の数え方がずれやすいのです。迷ったら、いま判断したいのはどれかを先に決めると、整理しやすくなります。

1勤務の原則…継続勤務が2暦日にわたる場合は、暦日が異なっても1勤務として扱い、その勤務は始業時刻の属する日の労働とする、という考え方です(昭和63年1月1日基発第1号)。

なお、前日から続く勤務が翌日の所定の始業時刻まで及んだ場合は、その始業時刻以降は翌日の労働として数える扱いが示されています。「朝まで残業して、そのまま翌日の勤務に入った」というときは、翌日の始業時刻で区切ると覚えておくと迷いません。

具体例:夜勤・日またぎ残業を、実際に数えてみる

ここからは、1時間あたりの賃金(割増の単価)を1,500円として計算してみます。単価の出し方は「月平均所定労働時間数の出し方」で整理しています。

例1:日勤の人が、トラブルで翌朝2時まで残った

所定は9時〜18時(休憩1時間・実働8時間)。機械のトラブルで、休憩なしのまま翌日の午前2時まで働いたとします。翌日は通常の出勤日です。

時間帯区分割増率計算割増込みの額
18時〜22時(4時間)時間外125%1,500円×4時間×1.257,500円
22時〜24時(2時間)時間外+深夜150%1,500円×2時間×1.54,500円
0時〜2時(2時間)時間外+深夜(前日の勤務の続き)150%1,500円×2時間×1.54,500円
合計(時間外8時間分)16,500円

ポイントは3行目です。日付は変わっていますが、始業した日の1勤務の続きなので、0時以降も「前日の時間外」として数えます。翌日の分として「所定内」に入れてしまうと、時間外が2時間少なく見えてしまいます。

例2:同じ残業で、翌日が法定休日だったら

例1と同じ勤務で、翌日が法定休日(たとえば日曜)だった場合は、0時の時点で物差しが変わります。

時間帯区分割増率計算割増込みの額
18時〜22時(4時間)時間外125%1,500円×4時間×1.257,500円
22時〜24時(2時間)時間外+深夜150%1,500円×2時間×1.54,500円
0時〜2時(2時間)休日労働+深夜160%1,500円×2時間×1.64,800円
合計16,800円

法定休日は暦日で判定するため、0時以降の2時間は休日労働です。休日労働の時間は時間外労働とは別に数えるので、この日の時間外は6時間、休日労働が2時間になります。36協定で休日労働の回数や時間を管理している会社は、こちらにも1回分として入ってくるので注意してください。法定休日と所定休日の違いは「法定休日と所定休日の違い」で整理しています。

逆に、法定休日に出勤して、その勤務が翌日の0時を越えた場合は、0時以降は休日労働ではなくなります(翌日が通常の出勤日なら、時間外かどうかで判定します)。

夜をまたぐ横長の時間の帯を3つの区間に分け、残業の時間、深夜の時間、日付が変わって翌日が休日になった時間で割増の扱いが変わることを示す図
夜をまたいでも1つの勤務。ただし翌日が法定休日なら、0時から先は休日労働として数えます

例3:もともと夜勤のシフト(22時〜翌7時)

所定が22時〜翌7時(休憩は2時〜3時の1時間・実働8時間)の夜勤で、引き継ぎのため翌朝9時まで残ったとします。

時間帯区分割増の考え方計算額
22時〜5時のうち実働6時間所定内+深夜所定の賃金に深夜割増25%を上乗せ1,500円×6時間×0.252,250円
5時〜7時(2時間)所定内割増なし(所定の賃金に含まれる)——
7時〜9時(2時間)時間外125%1,500円×2時間×1.253,750円

夜勤のシフトでは、所定の時間内でも深夜の時間帯には25%以上の割増が必要です。「夜勤手当を出しているから大丈夫」と思っていても、その手当が深夜割増に足りる額か、深夜割増として支払う趣旨が賃金規程や給与明細で分かるようになっているかは、一度確かめておくと安心です。

この勤務は始業した22時の日の労働です。月曜の22時に始まったなら、月曜の1日として数えます。

影響:夜勤明けは「休日」にならない、という話

もうひとつ、シフトを組むときに迷いやすいのが「夜勤明け」の扱いです。

法定休日は、原則として暦日(午前0時〜午後12時)の24時間、労働から離れることが必要です(昭和23年4月5日基発第535号)。そのため、例3の夜勤のように朝7時まで働いた日は、その日の残りが空いていても、休日を与えたことにはなりません。

よくある組み方休日として数えられるか
月曜22時〜火曜7時の夜勤 → 火曜は「明け」火曜は休日にならない(0時〜7時に働いている)
火曜が明けで、水曜は丸1日勤務なし水曜を休日として数えられる
土曜22時〜日曜7時の夜勤で、日曜が法定休日日曜の0時〜7時は休日労働(35%以上、深夜と重なれば60%以上)

「明け休み」を休日の日数に数えていると、気づかないうちに週1回(または4週4日)の法定休日が足りなくなっていることがあります。シフト表を1か月分並べて、丸1日まるごと勤務のない日が足りているかを数えてみると、見えてくるものがあります。

ただし、8時間3交替制のように、交替の順番が就業規則などで規則的に決まっている勤務では、一定の条件のもとで、暦日ではなく継続した24時間を休日とする扱いが認められています(昭和63年3月14日基発第150号)。シフト表をその都度作っている形はこの例外にあたらないことが多いので、当てはまりそうなときは社会保険労務士や労働基準監督署に確認してから運用してください。

また、16時間夜勤のように1回の勤務が8時間を超える組み方は、通常の労働時間制のままだと8時間を超えた分がすべて時間外になります。こうした勤務を所定の時間として組むなら、「1か月単位の変形労働時間制」などの仕組みとあわせて考える必要があります。

ここまで読んで、「これまでの数え方、合っていたかな」と不安になったかもしれません。でも、物差しが3本あると分かった時点で、もう半分は整理できています。あとは、自社の勤怠の行を1つずつその物差しに当てていくだけです。

明日やること(まずはここだけ)

一度に全部を整える必要はありません。明日できるのは、たぶんここまでです。

  1. 先月の勤怠から、日付をまたいだ勤務を1件選び、始業した日の労働として集計されているかを確かめる。
  2. その勤務の午後10時〜午前5時の時間に、深夜割増がついているかを見る。
  3. 就業規則で、どの曜日が法定休日かが決まっているかを確認する(決まっていなければ、まずそこから)。
  4. 夜勤のシフト表を1か月分並べて、丸1日勤務のない日が、週1回(または4週4日)以上あるかを数える。
  5. 勤怠システムの設定で、日またぎの勤務が始業日に集計されるようになっているかを確かめる。分からなければ、システムの提供元に聞いてみる。

今日は1と2だけでも十分です。実際の1件を手で数えてみると、システムの集計が合っているかどうかが、ぐっと見えやすくなります。

チェックリスト(現場用:最低ライン→優先→代替→免除)

夜勤や日またぎの勤務は、だいたい誰かが現場を止めないために踏ん張った時間です。だからこそ、その時間をきちんと数えようとしているあなたの仕事は、夜に働いてくれた人を守ることにつながっています。

始業した日の1勤務、深夜は時刻、法定休日は暦日。今日はこの3本の物差しだけ持って帰れば十分です。迷う行があったら、ひとりで抱えずに社会保険労務士や労働基準監督署に聞いて大丈夫。1件ずつ、一緒に数えていきましょう。

夜が明けた朝の事務所で、勤怠の整理を終えて窓の外の朝日を見ながら穏やかに微笑むひとり労務担当者
1勤務・時刻・暦日。3本の物差しがあれば、夜の勤務もちゃんと数えられます

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本記事は一般的な実務情報です。日をまたぐ勤務や休日の判定は、就業規則の定め・シフトの組み方・変形労働時間制の有無などによって扱いが分かれることがあります。最終的な判断は、社会保険労務士・所轄の労働基準監督署など最新の公式情報でご確認ください。

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