
パート・アルバイトの有給|比例付与の日数と数え方をやさしく整理
「週3日のパートさん、そろそろ入社から半年だけど、有給って何日つければいいんだろう」。
シフト表を見ながら、そこで手が止まること、ありますよね。正社員なら「6か月で10日」と覚えているけれど、勤務日数が少ない人は同じでいいのか、少なくていいのか。ネットで調べると表が出てくるけれど、自社の人がどの行に当たるのかがわからない——そこでつまずくのは、あなただけではありません。
先にお伝えすると、迷う原因はほとんど「どの表を見るかを決める入口」にあります。入口さえ決まれば、あとは早見表を1行たどるだけです。
この記事では、比例付与になる人の見分け方、日数の早見表、シフト制で所定日数が決まっていないときの考え方まで、順番に整理していきます。有給制度そのものの全体像(付与のルールと年5日義務)は有給休暇の付与日数と年5日取得義務の記事にまとめているので、ここでは短時間勤務の人の日数の決め方に絞ります。
結論:パート・アルバイトにも年次有給休暇はあります。ただし、「週の所定労働時間が30時間未満」かつ「週の所定労働日数が4日以下(週以外で定めるなら年間所定労働日数216日以下)」の人だけ、日数が少なめの「比例付与」になります。どちらか一方でも外れる人(週5日勤務の人、週30時間以上の人)は、勤務時間が短くても正社員と同じ日数です。付与の条件は正社員と同じで、雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していること。以降は1年ごとに付与します。
まずは、この3ステップで進めると迷いにくくなります。
- その人の週の所定労働日数と週の所定労働時間を、雇用契約書で確認する
- 「比例付与になる人」かどうかを判定する
- 早見表で、勤続年数の行を1行たどる
何が起きているか:入口は「日数」と「時間」の2つ
年次有給休暇の日数は、法律上「働いている日数の多さ」に応じて決まります。フルタイムの人と週1日の人が同じ20日、というのは実態に合わないためです。そこで用意されているのが比例付与(労働基準法施行規則第24条の3)という仕組みです。
ただ、ここでひとつ落とし穴があります。比例付与は「パートだから」「アルバイトだから」という呼び名では決まりません。見るのは、雇用契約書に書かれた次の2つだけです。

- 週の所定労働時間が30時間未満であること
- 週の所定労働日数が4日以下であること(週以外の期間で決めているなら、年間所定労働日数が216日以下)
この両方に当てはまる人だけが比例付与です。ここが、現場でいちばんズレやすいところなので、具体例で見てみます。
- 週4日 × 1日8時間 = 週32時間 → 時間の条件を外れるので、比例付与ではなく通常の付与(6か月で10日)
- 週5日 × 1日4時間 = 週20時間 → 日数の条件を外れるので、こちらも通常の付与(6か月で10日)
- 週3日 × 1日5時間 = 週15時間 → 両方当てはまるので比例付与(6か月で5日)
「1日の勤務時間が短いから、有給も少なくていいはず」と思いがちですが、週5日出ている人は日数では減りません。ここは知らないと気づきにくい部分なので、責める話ではまったくなくて、単に表の入口が2つあることを知っていれば防げる、という種類のものです。
なお、有給が発生するための条件そのものは、正社員もパートも同じです。
- 雇入れの日から6か月の継続勤務
- その期間の全労働日の8割以上の出勤
出勤率を数えるとき、年次有給休暇を取った日、産前産後休業、育児・介護休業、業務上のけがや病気による療養の休業は、出勤したものとして扱います。うっかり欠勤にカウントして「8割に届かなかった」と処理してしまうと、本来あるはずの有給が消えてしまうので、ここだけは丁寧に見ておくと安心です。
具体例:早見表を1行たどる
判定ができたら、あとは表を見るだけです。まず、比例付与にならない人(週5日以上、または週30時間以上)の日数です。
通常の付与日数(週5日以上、または週30時間以上)
| 勤続年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
比例付与の日数(週30時間未満 かつ 週4日以下)
| 週の所定労働日数 | 年間所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
年間の所定労働日数が48日に満たない場合(おおむね週1日未満の勤務)は、比例付与の対象外です。
この表の数字は、次の考え方から出ています。仕組みを知っておくと、表が手元にないときも見当がつきます。
比例付与の日数 = 通常の付与日数 × (その人の週所定労働日数 ÷ 5.2)※端数は切り捨て
たとえば週3日勤務で入社6か月の人なら、10日 × 3 ÷ 5.2 = 5.76 → 5日。表の数字と一致します。
ケースで確認してみる
ケース1:週3日・1日5時間のパート、勤続2年8か月 週15時間・週3日なので比例付与。勤続年数は2年6か月の行を過ぎているので、直近の基準日で付与された日数は6日。前年の未消化分があれば、繰り越して合算します(繰り越しの考え方は有給の繰越・時効・買取の記事で整理しています)。
ケース2:週4日・1日6時間のアルバイト、勤続3年8か月 週24時間・週4日なので比例付与。3年6か月の行で10日です。ここで大事なのが、10日以上になった時点で「年5日の取得義務」の対象になるという点。パートだから関係ない、とはならないので、取得状況の管理簿に加えてください(年5日取得義務の記事もあわせてどうぞ)。
ケース3:週5日・1日4時間のパート、勤続6か月 週20時間ですが週5日勤務なので、比例付与ではなく通常の付与。10日です。この人も初回から年5日取得義務の対象になります。
シフト制で「週◯日」が決まっていないとき
ひとり労務でいちばん困るのが、ここだと思います。雇用契約書に「シフトによる」としか書いていないケースです。
考え方の順番はこうなります。
- まず、雇用契約書や労働条件通知書に定めがあれば、それが基準です。「週3日程度」など目安が書かれていれば、それで判定します。
- 定めがない場合は、基準日(付与日)の時点で予定されている所定労働日数で判断します。
- それも決まっていない場合は、直近の実績(たとえば過去6か月の勤務日数を1年に換算した日数)で判定するのが実務では一般的です。
そのうえで、次の見直しのときに雇用契約書へ「週◯日」または「年間◯日」を書き足しておくと、翌年から迷わなくなります。今すぐ全員分を直さなくて大丈夫です。更新のタイミングが来た人から順に、で十分間に合います。
途中で勤務日数が変わったら
「週2日だったパートさんが、来月から週4日になる」。よくある話です。このときの原則はシンプルで、付与日(基準日)時点の所定労働日数で日数が決まり、いったん付与した日数は後から増減しません。
- 週2日のときに付与した4日 → その後で週4日勤務に変わっても、すでに付与した4日はそのまま
- 次の基準日(1年後)に、そのときの所定労働日数(週4日)で新しい日数を判定する
「増えた分を今すぐ足さなきゃ」と慌てなくて大丈夫です。ただし、契約変更のタイミングと基準日が近い場合は、どちらが先かをメモに残しておくと、あとで説明しやすくなります。
有給を取った日の賃金はいくら払う?
比例付与の人でも、支払い方の考え方は同じです。次の3つのうちいずれかを、就業規則に定めて一貫して適用します。
- 通常の賃金(その日に働いたら支払われるはずの賃金)…最も多く使われている方法です
- 平均賃金(直近3か月の賃金総額 ÷ その期間の暦日数 など)
- 健康保険法の標準報酬日額…この方法だけは労使協定が必要です
シフト制で1日の勤務時間がバラバラな人は、「通常の賃金」でも金額が決めにくいことがあります。その場合は、シフト表で予定されていた時間分の賃金を支払う扱いにしておくと、計算がぶれません。就業規則にその旨を書いておけば、毎回悩まずに済みます。
影響:日数がズレると、後からの精算が大きくなる
有給の日数のズレは、その月には表面化しません。気づくのは、たいてい先のことです。
- 少なく付与していた → 退職時や労働相談の場で判明し、さかのぼって付与し直す(過去2年分の未消化分を精算する)ことになります。人数が多いほど手間も金額も膨らみます。
- 年5日取得義務の対象者を見落としていた → 週4日勤務で10日に達した人が対象から漏れやすいところです。管理簿の対象を広げるだけで防げます。
- 出勤率の数え方を誤っていた → 育休・産休・労災による休業を欠勤扱いにしていると、本来発生するはずの有給が発生しないまま流れてしまいます。
- 人によって扱いがバラバラ → 「あの人は認められたのに」という不公平感につながり、説明に時間がかかります。
逆に言えば、雇用契約書の「週◯日・週◯時間」を一覧にして、早見表を1枚貼っておくだけで、ここはほとんど防げます。
明日やること(まずはここだけ)
全員分を一度に洗い出さなくて大丈夫です。今日は入口だけ整えましょう。
- パート・アルバイトの一覧を1枚つくる。名前・入社日・週の所定労働日数・週の所定労働時間の4項目だけで十分です。
- その一覧で、比例付与になる人に印をつける(週30時間未満 かつ 週4日以下)。印がつかなかった人は通常の付与です。
- 入社日から基準日(6か月後、その後は1年ごと)を書き込む。基準日がバラバラで管理しづらければ、統一する方法もあります。
- 付与日数が10日以上になる人に、別の印をつける。この人たちが年5日取得義務の対象です。
- 雇用契約書に「週◯日」の記載がない人だけを抜き出し、次の契約更新で書き足す項目としてメモに残す。
この5つが終わったら、今年は同じ表を見るだけで済みます。
チェックリスト(現場用:最低ライン→優先→代替→免除)
- 最低ライン(ここだけは必ず)
- パート・アルバイトにも有給を付与している(雇用形態を理由に付与しない扱いになっていない)
- 比例付与の判定を「週の所定労働時間30時間未満」かつ「週の所定労働日数4日以下」の両方で行っている
- 週5日勤務の短時間パートを、比例付与にしていない(通常の付与日数になっている)
- 出勤率8割の計算で、年休取得日・産前産後休業・育児介護休業・労災の療養休業を出勤扱いにしている
- 付与日数が10日以上の人を、年5日取得義務の管理対象に入れている
- 優先して確認(ミスの出やすいところ)
- 週4日勤務で勤続3年6か月を超えた人(10日到達)を見落としていない
- 基準日(付与日)を全員分把握していて、付与もれがない
- 年次有給休暇管理簿を、パート・アルバイトも含めて作成・保存している(3年間)
- 有給取得日の賃金の計算方法が就業規則に定められ、全員に同じ方法を適用している
- 契約更新のたびに所定労働日数が変わる人の、基準日時点の日数を記録している
- できないときの代替(暫定運用)
- 雇用契約書に週の所定日数の記載がない → 当面は直近6か月の勤務実績を年換算して判定し、その根拠をメモに残す。次の契約更新で記載を追加する
- 基準日が人ごとにバラバラで管理しきれない → まずは「10日以上付与になる人」だけ一覧化し、残りは翌年度に整理する
- 管理簿の様式を作る時間がない → 名前・基準日・付与日数・取得日の4列だけの表計算ファイルで始める(様式は自由です)
- 免除・簡略化の目安
- 年間所定労働日数が48日未満の人は、比例付与の対象外(付与義務はありません)
- 付与日数が10日未満の人は、年5日取得義務の対象外(付与と管理簿の作成は必要です)
- 入社6か月未満の人は、まだ付与のタイミング前(基準日をカレンダーに入れておけば十分)

パートやアルバイトの有給が難しく感じるのは、判定の入口が2つあって、しかも表が2種類あるからです。ややこしいのは仕組みのほうであって、あなたの確認が足りないわけではありません。
そして、この整理には副産物があります。一覧をつくると、「この人はもう3年もいてくれているんだ」と、勤続の重なりが目に見えるようになります。有給の管理は、人数を数える作業ではなく、続けて来てくれている人の記録でもあります。
今日、判定の入口と早見表の見方がわかったなら、それだけで来年の自分がずいぶん楽になります。まずは一覧の1行目から、ひとつずつで大丈夫です。
本記事は一般的な実務情報です。労務・社会保険の取扱いは、個別の事情や法改正、就業規則の定めによって変わります。最終的な判断は、社会保険労務士・所轄の労働基準監督署など最新の公式情報でご確認ください。
よければ、こちらも
- 有給休暇の付与日数と年5日取得義務|ひとり労務の管理ガイド:有給制度の全体像と、10日以上付与した人の取得状況を管理する方法をまとめています。
- 有給休暇の繰越・時効・買取|使いきれない分のやさしい整理:翌年に持ち越せる日数と、消えるタイミングの整理です。
- 有給の計画的付与と時季変更権|取りそびれを防ぐ使い方:取得が進まないときの計画的付与の進め方をまとめています。
- 社会保険の加入要件をパート・短時間で整理|ひとり労務の判定ガイド:同じ短時間勤務でも、社会保険は別の基準で判定します。
- 無料チェックリスト一覧:有給・給与計算・入退社など、印刷してそのまま使える実務チェックリストをそろえています。
人事・労務の実務のヒントは、メールでも受け取れます。よければ登録して、毎年の有給管理の段取りづくりに役立ててください。